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カーボンナノチューブにおけるカイラル指数(カイラルベクトル、カイラリティ)とは

カーボンナノチューブの構造を理解する上で、いちばん重要なのがカイラル指数だそうです。カイラル指数はカイラルベクトルとも、chirarily(カイラリティ:螺旋度)とも呼ばれます。

今回は、3D nanotube viewer(3D ナノチューブビューアー)を使って、実際にカイラル指数を入力し、そのCNTの構造を見ていきたいと思います。

3D nanotube viewerはこちら。ブラウザからアクセスできます。

https://1-10000th.com/nanotubeviewer/

3D nanotube viewerの説明はこちら。

https://1-10000th.com/3d-nanotube-viewer/

カイラル指数とは

カイラル指数とは、いわゆるカーボンナノチューブの構造を決定するパラメーター(≒ 巻き方)のことで、2つの数字の組み合わせ(Cn, Cm)によって、カーボンナノチューブの性質が変わるらしいのです(3種類:アームチェア型ジグザグ型カイラル型)。 ただ、詳しいことは、Google先生に聞いてください。下の図は3種類のカーボンナノチューブを並べたものです。

3D nanotube viewer

 

なお、超簡単に言いいますと、カイラル指数とは、カーボンナノチューブを展開したときの六員環の縦横比的なもの (角度的なもの?) で、この数値がカーボンナノチューブの螺旋具合に関与します(より重要な話では、カイラル指数によって見た目の螺旋具合だけでなく電気的特性が変わるのですが、その話はまた今度)。詳しいことは、Google先生に聞いてください。下の図は、グラフェン上にカイラル指数の概念を乗せたものです。矢印の方向にカーボンナノチューブを巻いていくという理解でほぼあっていると思います。

カイラルベクトル

 

とりあえず重要なことはカーボンナノチューブの見た目は、このカイラル指数のみによって決定するということです。

具体的に3D Nanotube Viewerにアクセスして見ていきましょう。

三種類のカーボンナノチューブ

アームチェア型(armchar)

下記画像は、カイラル指数(5,5)のカーボンナノチューブです。下記わかりやすいようにFOG(霧)エフェクトをかけて、奥行きをなんとなく表現しています。

カイラルベクトル
カイラル指数(5,5)

 

下図は見る角度を変えたときのアームチェア型の図。わかりやすいように原子に色を付けています。

カイラル指数(9,0)

このように、カイラル指数CnとCmが等しい場合、アームチェア型のカーボンナノチューブと呼ばれます。なぜアームチェア型と呼ばれるのかはよくわかりませんが、見た目が椅子っぽいのでしょうかね。 六員環の配置が横にまっすぐ直線ですね。

ジグザグ型(zigzag)

また、下記画像は、カイラル指数(9,0)のカーボンナノチューブです。

カイラル指数
カイラル指数(9,0)

 

下図は見る角度を変えたときのジグザグ型の図。わかりやすいように原子に色を付けています。

カイラル指数(9,0)

このように、カイラル指数Cmがゼロの場合、ジグザグ型カーボンナノチューブと呼ばれます。確かに画像を見るに、横から見たら六員環の配置がジグザグですね。

カイラル型(chiral)

また、下記画像は、カイラル指数(7,3)のカーボンナノチューブです。

カイラリティ
カイラル指数(7,3)

 

下図は見る角度を変えたときのカイラル型の図。わかりやすいように原子に色を付けています。

カイラル指数(7,3)

このように、カイラル指数CnとCmが等しくなく、Cmがゼロでない場合、カイラル型カーボンナノチューブと呼ばれます。確かに横からの画像を見るに、六員環の配置が斜めってますね。

 

以上、3Dナノチューブビューアを使用した3つのカーボンナノチューブの紹介でした。

https://1-10000th.com/nanotubeviewer/

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ブラウザで表示できるカーボンナノチューブ用の3Dビューアーの作成(WebGL・Javascript)

なにかと世間で話題のカーボンナノチューブ(通称:CNTs)ですが、論文、ポスター発表、授業等で、カーボンナノチューブの構造やイメージを説明したいとき、丁度いいカーボンナノチューブのイメージ図・画像がなくて困っていませんでしょうか?

困っています。少なくとも私は。

ということで、カーボンナノチューブの構造を3Dでそれっぽく表示するWEBページを作りました。

WEBページ自体はこちら。

https://1-10000th.com/nanotubeviewer/

自分好みのカーボンナノチューブの絵が欲しかった

自由に使えて、自分の都合の良い形・向きのカーボンナノチューブの絵なんてなかなか手に入らないです。人の論文から勝手に持ってきては怒られてしまいますし。。。

例えばこのようなもの(カーボンナノチューブ – Wikipediaより)


User Mstroeck on en.wikipedia – Originally from en.wikipedia; description page is (was) here 23:30, 1 February 2006 Mstroeck 2024×1846 (2,043,648 bytes) (A diagram showing the types of carbon nanotubes. (Created by Michael Ströck (mstroeck) on February 1, 2006. Released under the GFDL). The (n,m) nanotube naming scheme can be thought of as a vector (Ch) in an infinite graphene sheet that describes how to) 22:49, 1 February 2006 Mstroeck 1986×1756 (2,027,400 bytes) (A diagram showing the types of [[:en:carbon nanotubes]]. (Created by Michael Ströck (mstroeck) on February 1, 2006. Released under the GFDL). The (n,m) nanotube naming scheme can be thought of as a vector (Ch) in an infinite graphene sheet that describes ho) 22:40, 1 February 2006 Mstroeck 1986×1756 (1,989,910 bytes) (A diagram showing the types of carbon nanotubes. (Created by Michael Ströck (mstroeck) on February 1, 2006. Released under the GFDL). The (n,m) nanotube naming scheme can be thought of as a vector (Ch) in an infinite graphene sheet that describes how to) Version of 22:51, 1 July 2007 uploaded on behalf of en:User:Ma Baker. Lucasbfr 22:56, 1 July 2007 (UTC), CC 表示-継承 3.0, リンクによる

 

上記はCNTの立体構造を説明するのに非常にわかりやすい画像ですが、これと同じような画像を、パっと簡単に描くのは難しいものです。一度、真面目に考えてみればわかるのですが、構造を理解して、カーボンナノチューブの絵を描くのは案外難しいのです。しかもカーボンナノチューブにいくら詳しくても、3Dグラフィックス技術に詳しいとは限りません。むしろそんな人は激レアなわけです。

ということで、そんな「カーボンナノチューブの絵がほしい!」と思ったときのために、ブラウザ上で自分の好きな角度、好きなカイラル指数でカーボンナノチューブの三次元画像を作ることのできる「3D Nanotube Viewer」を試作しましたということです。

仕様

3D Carbon Nanotube

できること

  • カイラル指数を指定したのち、そのカイラル指数によって構成されるカーボンナノチューブを三次元ブラフィックで表示します。
  • 背景の色や、炭素(sphere)や炭素をつなぐ棒(cylinder)の色、材質、大きさなど、ある程度変えることができます。
  • フラーレンもある程度表示できます。
  • グラフェンもある程度表示できます。
  • 複数のカーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェンも理論上表示できます(重いですが)。
  • 画像に出力できます。

注意点

PCの性能、およびプログラムの稚拙な仕様のために、原子数によっては、かなり負荷がPCにかかります。おおよそ、画面に表示される原子数が1000を超えると厳しいんではないかと思います。もし画面がフリーズしたら、CTRL+ALT+DELETEからブラウザを落としてください。

プログラム言語など

WebGLという技術を用いて、すべてJavascriptで記述しています。

3D Carbon Nanotube

作られた画像の著作権について

もちろん作られた画像の著作権は完全フリーです!ポスターでもプレゼンでも授業でも書籍でも、特別な著作権表記なしで自由に使っていただければとおもいます。ただ、このブログにコメントいただけると私が喜びます。

3D Carbon Nanotube

使い方

スマートホンでも対応していますが、できればPCでのアクセスを推奨します。

  1. 3D Nanotube Viewerにアクセスして「Start」を押します。。
  2. カイラル指数(Cn, Cm)を入力します。
  3. 「Add CNT」を押します。

あとは適当に画面のインターフェースから使い方を感じながら操作します。

3D Carbon Nanotube

というわけで、カイラル指数とその構造の関係を説明するときなど、簡単な授業やイベントぐらいには使えるはずですので、ぜひ使ってみてください!